聖徳太子、秦河勝ゆかりの大避神社にて奉納公演
◆大避神社境内奉納 「翁」
一人翁之式 翁 辰巳満次郎
笛 貞光訓義
小鼓 大倉源次郎
千歳と地謡 辰巳孝弥
後見と地謡 澤田宏司
● 秦氏と「翁」について
秦氏はユーラシア大陸のかなり奥まった地域の出身で、 朝鮮半島を経由してやってきた渡来系氏族と言われます。 鉱山技術、鍛冶技術、養蚕、水道、機織、酒造など 最先端テクノロジーを倭国に伝播させた氏族です。 秦河勝は、その際立った技術経営力、人材機動力、財力、 国際的知識を駆使し、厩戸皇子のブレーンとして大活躍しました。 厩戸皇子は、当時の微妙な外交、地政学的ニュアンスを熟知していた 秦河勝から、儒教、仏教のみならず中東系諸宗教、律令制といった 当時の知のワールド・スタンダードのみならず、国際政治、通商、 パワーポリティクスの機微を徹底的に学んだと考えられます。 猿楽(能楽の古名)の祖とされる秦河勝、その子孫の秦氏安が、 村上天皇の時代(10世紀ごろ)に、河勝伝来の申楽を六十六番舞って 寿福を祈願したが、そこから三番を選んで式三番(「翁」の別称) としたと伝わります。 翁は神事であり、そもそも神職が務めたものですが、室町期に猿楽の 役者が勤めることになりました。 現在に至っても神事として、天下泰平国土安穏を祈るものとして 「能にして能にあらず」と言われます。 今回は「一人翁」と言う形式、三番叟は入らずに翁の舞のみで 奉納いたします。精進潔斎して、祭壇を作り儀式と切り火をして から舞台を勤める慣わしとしております。
◆生島奉納 「難波」
謡 辰巳満次郎
小鼓 大倉源次郎
●難波の宮よりうつほ船でこの地に流れ着いた河勝に因んで、 難波の宮にて百済より漢字や学問を伝えた王仁の物語「難波」 の終曲クライマックス部分を奉納いたします。 大避神社に伝わる「採桑老」の面、これは雅楽「採桑老」の 専用面ですが、その言葉も含まれる演目として相応しいと選びました。
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